VII.森林の階層構造と変形菌
 森林では植物はすみわけをしていて、ふつうは階層構造を示す。例えば、 日本のシラカシ林では高木層(8-12m)、亜高木層(4-8m),低木層機2-4m)、低木層供0.5-2m)、 草本層(0.05-0.5m)、コケ層(0.05m以下)などに区分されている。ふつう、変形菌は草本層 またはコケ層に見られ、ときに高木の生木変形菌が低木層までの高さで採集されている。 Lakhanpalら(1990)はインド北西部の生木樹皮を0-3m、3-6m、6-9mの高さで採集して、 湿室培養して得たコホコリ類を報告した。変形菌の種名、樹種、高度は次の通りで、 9mまでではそれほど差がないように思われる。スワリフタコホコリ(ヒマラヤスギ、ヒマラヤゴヨウ、0-9m)、 Licea confundens(カシワ属の一種、0-9m)、ハダヌギコホコリ(同、0-9m)、L. floriformis(同、3-6m)、 L. lilacina(同、0-9m)、L. hydrargyra(同、0-3, 6-9m)、L. morchelloides(同、0-3、6-9m)、 L. nigromarginata(ヒマラヤゴヨウ、6-9m)、コケシコホコリ、L. pseudoconica(カシワ属の一種、0-9m)、 コビトコホコリ(ヒマラヤスギ、0-3m)、L. scyphoides var. reticulata(カシワ属の一種、0-9m)、 L. tuberculata var. papillata(カシワ属の一種、3-9m)。最近、米国では樹木の高さと変形菌の 関係を調べている。その結果、変形菌には樹冠部のみに見られる種類があると言われ、 樹冠部変形菌(tree canopy myxomycetes)と呼ばれている。Kellerら(2002)は米国の高木の樹冠部変形菌を 調査した結果、ジクホコリ属の新種を発見したと言う。その種は27.4mのカシワ属の木の一種では9-24mの高さ に生息し、12mの高さのエンピツビャクシンでは4.6-9mの高さで、30.5mの高さのトネリコ属の一種では 20-23mの高さで見られたと言う。